現在位置: ホーム / Education / 2010 / ASICトレーニングコース / ASICデザイン講習および製作実習

ASICデザイン講習および製作実習

  • 対象者:大学院学生(学部4年生可)、ポスドク、若手研究者
  • 日時:9月8~12日の5日間(ただしASIC製作実習に参加された方は2月頃出来上がったASICをテストするための実習に参加していただくことを考えています)
  • 場所: KEK 先端計測実験棟 多目的室 (場所)
  • 募集人員:各コース10人程度(応募者が10人を越えた場合は調整させて頂きます)
  • 参加費:無料
  • 参加条件:参加される方は下記の作業を事前にお願いすることになります。
    1. 各コースにおける半導体プロセスの秘密保持契約の書類にサインをいただきます。
    2. 事前にASIC製作用CADのインストールを行ったコンピュータを持参していただくため次の2つの作業が必要です。不明な点は藤田(yowichi.fujita@kek.jp)までご連絡ください。受講者には別途、詳細な情報をお送りする予定です。
      1. CADライセンスの取得を事前にお願いします。これはソフトウエアの動作を確認していただくために必要であるとともに、大学へ戻ってからも同じ環境で開発を続けられるようにするためです。(参考 VDEC: http://www.vdec.u-tokyo.ac.jp)(登録手順例)
      2. CAD(Cadence, HSPICE, Calibre) インストール済みPCの用意をお願いします。インストール情報はこちらです。 Linuxが動作しているPCであればCADソフトウエアのインストールはほぼ問題がないかと思いますが全てについて確認をしているわけではありません。
  • 申込方法: メールで申し込みをしてください。申込用紙を記入のうえ[素粒子原子核研究所 潮田宛] に申し込んでください。
  • 申込締切: 7月18日 (申し込みは終了となりました。)
  • 講師:谷口敬、島崎昇一、新井康夫、池本由希子、藤田陽一、根岸久

概要

特定用途向け集積回路ASIC(Application Specific Integrated Circuit)は今や先端の測定器開発には欠かせないものとなっており、皆さんもその名前を耳にすることがあると思います。ASICの開発にはプロセス技術、回路設計技術などのいくつかの技術が含まれており、初めての方はどこから手を付けてよいか戸惑うこともあるかと思います。
そこでそのような方も含め講義においてアナログ回路設計、ノイズ、半導体プロセスなどの知識になじんでいただき、計算機を用いた実習及び自分自身の手によるアナログASICの製作を通し、ASIC開発にあたって必要となる基礎知識の習得を目指します。
ASICの製作に当たっては、開発済みアナログASICライブラリを題材にしたASICの実製作が可能であり、初めての方でも取り組み易くなっていますのでぜひお気軽にご参加ください。本セミナーはKEK「大学等連携支援事業」のサポートを受けて開催されます。

プログラム:

  • コース1 9月8日(9:00-17:00)
    講義:アナログ信号処理の基礎およびノイズについて
    実習:BiCMOSプロセスを用いたプリアンプのシミュレーション
  • コース2 9月9日(10:00-17:00)
    講義:CMOSアナログ・デジタル回路の基礎
    実習:CMOS回路シミュレーションとSOI Pixelレイアウト
  • コース3 9月10~12日(9:30-17:00)および2月中旬(予定)の2日間および各自による実習
    講義:ASIC製作に使用するアナログライブラリの解説及び製作フローの説明
    実習:CMOSアナログライブラリを用いたASIC製作実習
    出来上がってきたASICは2月中旬に予定しているASICテスト実習にてお渡ししテストをしていただき持ち帰っていただきます。(テストに関しては受講者と相談の上決めたいと思います)
    なお、9月11日午前、企業の方によるTSMC 0.5umプロセスの解説を検討中です。詳細が決まり次第、ここに掲載する予定です。希望内容などありましたら検討しますのでご連絡ください。

プログラムの内容は状況に応じて変更される場合があります。

 

プログラム紹介


コース1.
講義:アナログ信号処理の基礎およびノイズについて
実習:BiCMOSプロセスを用いたプリアンプのシミュレーション


予備知識:
電圧、電流、電圧源、電流源、抵抗、コンデンサなどの言葉の意味が理解できること。

期待される効果:
自分で作りたいと思う回路ブロックを具体的に考えてくればより効果的です。

各自用意していただく物:
作ってみたい回路動作のアイデア、機能アイデアでも結構です。

講師:谷口敬、島崎昇一

内容:
本講義では難しいと考えられているトランジスターの動作を、水ポンプのモデルを使用して簡単に説明します。いわゆるパッシブ素子(抵抗やキャパシター、インダクターなど)を含めて動作の理解を促進し、簡単な回路であればすぐにでもディスクリート素子を使用して設計、制作できるようになれる事を目指します。またノイズ理論の簡単な紹介と実際の計算法、そして実験との比較を行おうと思います。
実習では用意した回路を実際にシミュレーターで動作させてみて、実際のプリアンプやシェ-パーアンプの動作について理解をしていただきます。また自分の望む動作をさせるアンプや回路というアイデアのある人はそれを実際に現場で設計、入力してシミュレーションしてみましょう。
今回の実習はシミュレーションのみですが、ここで使用するトランジスタは新日本無線のBiCMOSプロセスのものであり、実際にASICとして製作することも可能なものです。
シュミレーション用SPICE fileはこちら
講義用トラペ
sample回路図
回路図(BE_amp.out)
回路図(CE_amp.out)
回路図(EE_amp.out)
回路図(EE_CAS_amp.out)

アナログ回路の基礎
物理学実験研究用アナログエレクトロニクスの基礎-目次
物理学実験用エレクトロニクスの基礎
放射線検出器用プリアンプの基礎


コース2:
講義:CMOSアナログ・デジタル回路の基礎
実習:CMOS回路シミュレーションとSOI Pixelレイアウト


予備知識:
学部で習う程度の半導体物理の知識。

期待される効果:
現在自分の身の回りにあるゲーム器、携帯等の半導体機器が、どのような原理で動いているのかが少しはわかるようになると思います。また、半導体を使った放射線検出器の仕組みに触れることが出来ます。

各自用意していただく物:
CAD(回路シミュレーション、レイアウト)またはXwindowをインストール済みPCを1台御用意ください。受講決定者には後ほどメールで詳細情報をお知らせいたします。

講師:新井康夫、池本由希子

内容:
現在のLSIの90%以上を占めるCMOS LSIプロセスの回路設計、レイアウト設計について触れていただきます。基本的なトランジスター特性の紹介から出発し、どのようにメモリー、プロセッサー、ADC等が作られていくのかを出来るだけ紹介します。
また実習ではこれらの知識と合わせて、SOI (Silicon-On-Insulator) という最新の技術を使って、放射線センサーと読み出しエレクトロニクスを一体化させたピクセル検出器のレイアウトを経験してもらいます。
「ASICデザイン講習および製作実習」コース2実習参加者へ
講習会の資料を http://kds.kek.jp/conferenceDisplay.py?confId=2010 に置きました。
一部資料には秘密保持のためパスワードがかかっています。パスワード->新井(yasuo.arai@kek.jp)へ。


コース3:
講義:ASIC製作に使用するアナログライブラリの解説及び製作フローの説明
実習:CMOSアナログライブラリを用いたASIC製作実習


予備知識:
コース1~2受講された方もしくは回路図・レイアウトエディタ(Cadence)およびSPICE(HSPICE)の基本的なオペレーションを習得済みの方、CMOS デバイスに関して基本的な知識のある方

期待される効果:
ASICの製作及び実践的な開発フローの習得
自分で作りたいと思う回路ブロックを具体的に考えてくればより効果的です。(事前にご相談ください)

各自用意していただく物:
CAD(Cadence/HSPICE/Calibre)インストール済みPCを1台御用意ください。受講決定者には後ほどメールで詳細情報をお知らせいたします。

講師:藤田陽一、根岸久

内容:
このコースでは実際にASIC製作を行います。ASIC製作を通じて実践的な開発フローを身につけることを目的としています。最初に、マイクロパターンガス検出器用フロントエンドASICを題材として、全体の構成および構成要素であるプリアンプ、シェイパー、コンパレータの機能についてシミュレーションを交えた解説を行います。続いてCMOS半導体プロセス(TSMC社 0.5umCMOSプロセス)についての基本的な知識を習得の後にレイアウト設計について実習を行います。基本的な設計フローが把握できた段階で、素子パラメータの調整によるカスタマイズや回路構成の変更など各自がテーマを決め、各自で設計に取り組んでもらいます。大学に持ち帰って設計することも可能ですが、初めての方は、まずはアナログライブラリを用いて製作し、実習期間内にレイアウト検証まで終わりにすることをお勧めします。設計終了後は一括して12月10日にテープアウトを行い、納品後に製造されたASICのテストを行います(2月中旬予定)。


申込用紙