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ASICトレーニングコース2015@名古屋大学

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開催趣旨


本トレーニングコースは初心者を対象にしたASIC実習セミナーです。今や特定用途向け集積回路(ASIC)は先端の測定器開発には欠かせないものとなっており、皆さんもその名前を耳にすることがあると思います。ASICの開発にはプロセスや回路設計など複数の技術が含まれており、初めての方はどこから手を付けて良いか戸惑います。 そこで、講義においてアナログ回路設計, 半導体プロセスなどの知識に馴染んで頂き、計算機を用いた実習を通じて、ASIC開発に必要となる基礎知識の習得を目指します。(本トレーニングコースにはASICの製作は含まれません。)
(*) 2012年度から実際のASIC製作はOpen-Itプロジェクトに移行しました。 2011年度までの参加者が製作したチップの例はこちらでご覧になれます。


ASICとは?


Application Specific Integrated Circuit (ASIC) は「特定用途集積回路」の名前の通り、ユーザーの仕様に応じて製作される集積回路で、放射線検出器の読み出しシステムで多用されています。 以前は開発コストが高かったのですが、現在ではシャトルサービスと呼ばれる方法で安く試作ができるようになっており、通常の電子回路基板を製作するくらいの金額で試作できるものもあります。


開催要項


本トレーニングコースでは、トランジスタからASICの開発に関する講義・実習を2日、レイアウト及び半導体プロセスに関する講義・実習を1日行います。Cadence社のCADツールを利用した少人数の実習形式のセミナーで、以下の通りに開催します。

  • 目的:ASIC製作フローに関する必要最低限の知識と技術が習得でき、今後ASICを製作できるようにする。
  • 方針:実習形式でトランジスタ, 増幅回路, 信号処理, レイアウトを理解します。その中で、DC解析, AC解析, トランジェント解析, ノイズ解析, コーナーパラメータを使用した評価方法, レイアウト検証方法を習得します。
  • 対象:ASICに興味のある大学院生, 研究員, 教員, 技術職員
  • 日程:2015年9月15日(火) - 17日(木)(3日間)
  • 場所:名古屋大学東山キャンパス 理学部C館 C5講義室 (C517室)

    名古屋大学へのアクセス, 東山キャンパスマップ (会場はD2⑪になります)

  • 定員:20名弱
  • 言語:日本語 (English support can be available for international students on best-effort basis. Please consult the coordinators for details.)
  • 受講料:無料
  • 講師:島崎昇一 氏, 田内一弥 氏, 田中真伸 氏, 藤田陽一 氏 (KEK)
  • 主催:名古屋大学 博士課程教育リーディングプログラム「フロンティア宇宙開拓リーダー養成プログラム」
  • 後援:Open-It, 高エネルギー加速器研究機構 (KEK) 素粒子原子核研究所, KEK加速器科学総合支援事業
  • 世話人:戸本誠, 鈴木一仁(名古屋大学)
  • その他注意点
    1. 本トレーニングコースは初心者向けです。実験等に使用するためのASICデザインに関するご相談はこちらもしくは講師にお願いします。ご相談頂ければOpen-ItのOn the Job Trainingとして別途検討させていただきます。
    2. 大学へ戻ってから設計を続けたい場合、CADライセンスの取得をお願いします。(参考:VDECウェブページ
      • 登録手順例はこちらで、インストール情報はこちらでご覧頂けます。
      • Linuxが動作しているPCであればCADソフトウエアのインストールはほぼ問題がないかと思いますが、全てについて確認をしているわけではありません。
    3. 実際にASICを製作して評価する場合の使用可能パッケージの例はこちらでご確認ください。
     

申込要項



プログラム・テキスト


テキストと資料のダウンロードには、受講承認後に配布されるID/PWが必要となります。なお、実際のASIC開発にはIC615が推奨されますが、使用するライブラリとの整合性により、本コースではIC5141の開発環境に基づいた資料を用います。ご了承ください。

事前準備・資料
  • 限られた時間内に効率よく習得できるよう、受講前に以下の内容を復習することを推奨します。
    • 抵抗・コンデンサ等, オペアンプの動作, トランジスタの動作
  • 回路図・レイアウトエディタ(Cadence)およびSPICE(HSPICE)の基本的な操作を以下にまとめました。事前準備や実習の際の参照資料として活用してください。
  •  
1日目(シミュレーション実習)
到達目標:DC,AC,トランジション解析が行えるようになる。トランジスタの動作とASICを構成するいくつかの基本要素を理解する。簡単な増幅回路をデザインし、特性をシミュレーションにより理解する。
2日目(シミュレーション実習・レイアウト)
到達目標:放射線計測用信号処理方法をシミュレーションによって理解する。ノイズ解析になれ、S/Nの定量的な評価ができるようにする。レイアウトの理解を見据えて、半導体プロセス及び素子の構造を理解する。
3日目(レイアウト・検証ツール実習)
到達目標:レイアウト及び検証の一連の流れを理解する。

アンケート


受講者の方々はアンケートにご協力ください(受講承認後に配布されるID/PWが必要です)。トレーニングコースは今後も継続する予定です。より良いものにするために是非お願いいたします。

アンケート結果(回答者数8名/参加者数8名)

Q1. シミュレーション実習:内容のレベル
  4択:不満足 0人、普通 0人、満足7人、大変満足 1人
 
Q2. シミュレーション実習:説明は分かり易かったですか?
  4択:とても分かり難い 0人、分かり難い 0人、分かり易い 5人、とても分かり易い 3人
 
Q3. シミュレーション実習に関する質問・意見
  • カスコード接続のところで、どうしてMiller効果を低減できるのかの説明が、資料中にも記載していただけると、さらにわかりやすいと思いました(また、直前のところでMirror回路という、カタカナにすると同じ表記の回路がでてくるので、アルファベット表記にして、まったく別物であることを示せるとよいと思います; Millerは人名、Mirrorは「鏡」の意味なので)
  • すべての回路図で、入力と出力のnetを明示的にin/out等のラベル(ピン)をつけて表示していただけるとわかりやすいと思いました(e.g. vin_voutの回路では、出力部分に明示的な名前がついていなくて、回路図をみたりプロットを作成するときにちょっとわかりづらいと感じました)。
  • CADの操作に四苦八苦している間に回路の働きの説明が進んでしまう場面があったので、CADの操作に慣れる時間をはじめにもう少し長くとっていただけると、もっと良かったです。
  • 回路の説明をする際には、参加者がCADの操作を終えていることをこまめに確認していただけると、もっと良かったと思います。
  • 説明が省略になってしまった部分があって残念でした。実習期間がのびてもいいので、全部こなしたかったと思います。
  • 今回の復習をしたいので参考書を知りたい。今回はPCを実際に使ってシミュレーションをしたので聞くだけの講習より楽しくわかりやすかった。理解が不十分な部分もそこそこあるので復習しようと思う。
  • 1日目~2日目前半にやった差動入力アンプやソースフォロワなどの回路が全てもともと用意されているものを実行するだけに終わってしまったので、もう少し回路についての解説をしてもらいたかった。
  • インバーターなど働きがMOSFETの組み合わせによって実現されている様子がよく理解できた。
  • 観測機器の信号処理において重要な内容だった。
 
Q4. レイアウト実習:内容のレベル
  4択:不満足 0人、普通 1人、満足5人、大変満足 2人
 
Q5. レイアウト実習:説明は分かり易かったですか?
  4択:とても分かり難い 0人、分かり難い 0人、分かり易い 5人、とても分かり易い 3人
 
Q6. レイアウト実習に関する質問・意見
  • 資料の中の「X1TXT」は「M1TXT」の誤植のように思われます。
  • 分かりやすく丁寧なスライドで、効率良くレイアウトの基礎を学べたと思います。
  • 全体的にわかりやすかったがスライドの説明で不十分なことがあった。(Library ManagerのCellの追加方法など)
  • スライド、説明共に大変わかりやすかったです。
 
Q7. 興味を持ったこと
  • レイアウト段階での自動配置、自動配線。
  • Open-Itに参加している各人が作成した回路素子と関連情報(アンプのライブラリや性能評価の結果等)を共有するシステム。
  • 回路設計において、放射線計測と一般的な回路では重要視することの違いから使用する回路が変わる点。 当たり前といえば当たり前なのですが、回路のコアな知識と実験として求められる目的を結びつけやすくなりました。
  • PZC回路がどうやって信号の時定数を変えているのかという話はとても興味深く、面白かったと思います。
  • ASICの設計など
  • さまざまな働きを持つ回路素子(?)が基本的な要素の組み合わせでできていることが面白かった。
  • ノイズ解析について
 
Q8. 本トレーニングコースに参加した経緯を教えてください。
  • tennetや高宇連のMLに情報が流れているのをみて、数年前から知っていた。
  • 以前から参加したかったが、出張等で日程があわず、今回ようやく参加できた。
  • ASICを用いたSiストリップやCdTeストリップの読み出しは行っていたが内部構成を勉強したかったので参加した。
  • これまで回路などのハードに触れる機会が少なかったので、知識の幅を広げるために参加させて頂きました。
  • Open-ItのWebでの告知で知りました。 9月はじめにKEKで開催された5日間のセミナーでも紹介されていました。
  • 先生に勧められた
  • 先生に勧められた
  • tennetでの告知を見て
  • LGSのイベント
  • 若手の会から研究室の先輩を通して通知があった。
 
Q9. 本トレーニングコースに対するご意見・ご要望等
  • 私自身はデジタル回路の設計や、PCB製作におけるCAD操作の経験があったので、ほぼすべて内容を理解できました。とても勉強になり、感謝しております。 一方で、同時に参加していたM1/M2等の学生さんは、経験が限られていると思うので、MOS素子やアンプ回路の基本的なところについては、資料を自習してくることを強く要請していただけるとよいかもしれません(すでに案内メール等で、事前にダウンロードして予習するよう書いていただいているとは思いますが、そのメール自体もなかなか読んできていないようなので)。またおすすめの入門書のリスト等を参考文献として事前に配布いただけると、熱意のある参加者には有益な情報となると思います。
  • 数式ではなく、回路シミュレータを使って回路ブロックの特性を見ることができたのはとても良かったです。シミュレータの使い方に慣れる時間がもっと欲しかったと思います。全くの初心者は、ある程度慣れるのに1日かかると思います。たとえば、講習を4日にして、1日目はシミュレータの使い方に専念し、2日目から回路特性を見ることにすれば、もっと落ち着いて理解できたのではないかと思います。
  • 1日目の研究紹介セッションについて:終わる時間が遅かったためその日の内容の復習が満足にできなかった。また発表・質問が無駄に長かったためつまらなかった。お酒が入るので事前に連絡が欲しかった。
  • 2日目について:ASIC製作体験談の話が長かったため(20分オーバー)この後に外で用事があったが時間がギリギリになってしまった。予定は極力守って欲しかった。
  • このような講習会を開催していただきありがとうございます。
  • 予めの環境設定(XmingやPutty等)の案内があるといいのでは。[主催者注:ウェブページにて事前に案内しています。]