アトラス実験EMカロリメータの高速読み出し評価ボード
- 田中純一(代表:東京大学ICEPP)
- 江成祐二(東京大学ICEPP)
- 山本真平(東京大学ICEPP)
- 久島真悟(東京大学ICEPP)
- 嶺岸優司(東京大学ICEPP)
- 池野正弘(IPNS KEK)
- 内田智久(IPNS KEK)
LHC・ATLAS実験におけるLiquid Ar Calorimeterトリガーシステムに使用されるAdvanced Mezzanine Card(AMC)の開発プロジェクト。
LHCのアップグレード計画においてルミノシティの増強が見込まれ、 それに伴いパイルアップ等の影響の増大、 Jetを伴うバックグラウンドによりTrigger rateが大幅に上昇することが予想される。 本プロジェクトでは、信号に対してより精度の高いフィルタリングを施すためのデジタル信号処理を取り扱う回路を開発し、 高ルミノシティにおけるTrigger rateの抑制を実現することを念頭に置いている。
現行のトリガーシステムは、Front-endからBack-endまで100m弱の距離をアナログ信号で送っており、 これでは信号波形のなまり、およびノイズの影響を受けやすい構造になっている。 アップグレードでは、Front-endでデジタル信号に変換してからBack-endに送り、 Back-endでその信号にフィルタリング処理を施してエネルギーに変換した後、 トリガーをかけるLevel-1まで信号を送ることを想定している。
今回我々が開発するのは、このBack-endにおけるAMCのR&D用のボードであり、 受け取ったデジタル信号に対してFPGAでフィルタリング処理を施し、 その情報を転送およびモニタリングを行う回路である。
特徴は、
1) データの入出力にAvago technologiesのMicroPODを用いて100Gbpsレベルのデータ転送を行うこと、
2) 受け取ったデータからFPGAで100ns程度でより正確に(パイルアップに強い手続きの実装)エネルギーを計算すること、
である。
- Xilinx FPGA Kintex-7 XC7K480T-2FFG1156C
- 32個の12.5G GTX
- Avago technologies MicroPOD
- 10Gbps×12本(光ファイバー)からなるリボンケーブル
- 嶺岸優司、"ATLAS実験液体アルゴンカロリメータのアップグレードに向けた高速高密度データ通信回路の研究開発", 修士論文、January 2015, 東京大学
- 嶺岸優司、江成祐二、金谷奈央子、田中純一、寺師弘二、久島真悟、南雄人、森達哉、山中隆志、山本真平、池野正弘、内田智久、"ATLAS LArカロリメータアップグレード 高速データ通信テストボードの性能評価", 日本物理学会 第70回年次大会 (早稲田大学) 2015
- 嶺岸優司、江成祐二、金谷奈央子、田中純一、寺師弘二、久島真悟、南雄人、山中隆志、山本真平、池野正弘、内田智久、"ATLAS LArカロリメータアップグレード(2):高速高密度データ通信テストボードの製作と性能評価", 日本物理学会 第69回年次大会 (東海大学) 2014
- 2014 Master 東京大学 嶺岸優司 ATLAS実験液体アルゴンカロリメータのアップグレードに向けた高速高密度データ通信回路の研究開発