スーパーカミオカンデにおける超新星爆発ニュートリノ監視システム

メンバー
  • 早戸良成(代表:ICRR 東大)
  • 戸村友宣(ICRR 東大)
  • 織井安里(ICRR 東大)
  • 中畑雅行(ICRR 東大)
  • 池野正弘(IPNS KEK)
  • 内田智久(IPNS KEK)
  • 横澤孝章(大阪大学)
  • 山田悟(IPNS KEK)
概要

ベテルギウス・アンタレスといった、地球近傍、約600~700光年にある星が超新星爆発を起こした場合、現行のスーパーカミオカンデ(SK) DAQでは最初の約1秒以後はデッドタイムが生じ、ニュートリノ数の時間変動を数秒以上の長期にわたって完全に記録することはできない。そこで、現行のオンラインシステムから独立した近傍超新星爆発用のデータ収集システムの開発を行うこととした。超新星爆発ニュートリノのエネルギーは10MeV~20MeVと比較的狭い領域に集まると考えられている。よって、これらのニュートリノがSK 検出器中で大量に反応した場合には、SK 検出器中で観測されたニュートリノ散乱により生成した電子の総エネルギーを測定すれば、飛来ニュートリノ数が推定できる。すなわち、SK 検出器の PMT の同時ヒット数を常時記録しておけばよいことになる。SKのPMTの信号は、QBeeと呼ばれるエレクトロニクスにてデジタル化されている。QBeeは60MHzで同時にヒットしたPMT数をLVDSレベルにて出力している(Digital HITSUM)。この出力は、モジュール内のデータバッファの状態によらず常時出力されている。

Open-It では、以下の3つの機能を持ったモジュールを製作する。

  1. 10枚のQBeeから出力されたDigital HITSUMをFPGAを用いて足し上げ60kHz にダウンサンプルし、SiTCPを通じてPCへ送信する。
  2. 10枚のQBeeからのDigital HITSUMを監視、ヒット数の増加を検知し、 超新星爆発の兆候可能性の信号を出力する。
  3. 超新星爆発と思われる事象数超過がみられた時、または外部から記録指示信号が入力された時、 60MHz の Digital HITSUM 情報をモジュールに内蔵したメモリに約60秒間分蓄える。
機能・特徴

LVDS レベル 5 bit の 入力信号10個を 60MHz で FPGA 内にて足し上げ、平均を取り、60kHz におとした上で SiTCP 経由で PC に送る。
60MHz で入力されている 5 bit の入力信号 10 個の和を常時内蔵メモリに書き込む。メモリがいっぱいになっ場合、頭から書き潰す。
足し上げ、平均を計算する時、ある既定値より和が大きくなった場合にNIM レベルの信号を出力する。
上記の足し上げ、平均を計算する時、ある既定値より和が大きくなった場合、もしくは、外部からNIMレベル信号が入力された時点、どちらか早い方から30秒後に、前述の内蔵メモリへの書き込みを停止する。(超新星爆発と考えられる事象の前後 1分のデータをメモリに残す)

公開(予定)リソース
  • 基板回路図
  • 設計図 ( OrCAD )
  • FPGA firmware ( Verilog code, for Xilinx Virtex 5 )
図・写真等

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関連リンク

スーパーカミオカンデ実験グループ

発表論文リスト
  1. T. Yokozawa, Y. Hayato, M. Ikeno, M. Nakahata, S. Nakayama, Y. Obayashi, M. Shiozawa, T. Uchida, S. Yamada, "Data Acquisition System for Nearby Supernova Bursts at Super-Kamiokande," Nov. 1, 2010, presented at IEEE 2010 NSS, Knoxville, TS, USA.
  2. 横澤孝章,早戸良成,中畑雅行,中山祥英,大林由尚,奥村公宏,塩澤真人,山田悟,池野正弘,内田智久,他Super-Kamiokande Collaboration, "Super-Kamiokandeにおける新データ収集システムの開発," 日本物理学会 2010年秋季大会@ 九州工業大学戸畑キャンパス
  3. S. Yamada, Y. Hayato, M. Ikeno, M. Nakahata, S. Nakayama, Y. Obayashi, K. Okumura, M. Shiozawa, T. Uchida, T. Yokozawa, “Measurement system of light curves from nearby supernova bursts for the Super-Kamiokande experiment,” in IEEE 17th Real -Time Conference (RT2010) 24-28 May 2010, http://rt2010.ipfn.ist.utl.pt/

 

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