CALFE
- 浜垣秀樹(東大CNS)
 - 郡司卓(東大CNS)
 - 林真一(東大CNS)
 - 池田博一(JAXA)
 - 田中真伸(KEK)
 
CALFEチップは欧州素粒子原子核研究機構(CERN)のLHC-ALICE実験で議論されている、タングステンとシリコンパッド、ピクセルを用いた前方方向サンプリング型電磁カロリメータ(FOCAL)のフロントエンドASICとして開発されました。FOCALでは数GeVから500GeVの光子や中性メソンの測定を想定しており、FOCALのフロントエンド回路には非常に大きなダイナミックレンジが要求されます。CALFEチップは前段にカレントコンベアを用いることで、入力電荷50fCから200pCというダイナミックレンジを持つように設計されており、CMOS 0.25 μmプロセスを用いて開発が行われました。
CALFEチップは主にカレントコンベア回路、波形整形回路(2次ローパス回路)、アナログメモリ回路で構成されており、1チップあたり6読み出しチャンネルを有しています。想定される入力電荷のダイナミックレンジが50fCから200pCで電荷の絶対量としてもASICで処理するには大きいため、初段に1/2,1/8,1/64/1/512という4つの異なるゲインのカレントコンベアを用いて、信号を減衰させながらダイナミックレンジを確保しています。波形整形回路で整形された波形は後段の深さ32のアナログメモリセルで保持されます。アナログメモリからの出力は読み出し用トリガー信号を入力することで読み出しモードに切り替え、5MHz-10MHzでチップ内で各ゲインごとにシリアルに出力されます。 
主な特徴
- ダイナミックレンジ:50fC-200pC
 - カレントコンベアゲイン:1/2,1/8,1/64,1/512
 - 整形回路ピーキングタイム:250ns,500ns(選択可)
 - 波形サンプリングレート:10MHz
 - 読み出しレート:5MHz-10MHz
 - 各ゲインごとにマルチプレックス読み出し(4つ出力ポート)
 
- Tanner社製デザインツール用(S-Edit,TSPICE)回路図
 - レイアウト図
 - テスト用基板
 - プレゼンテーション等
 
ASIC内部回路の構成 
 初段に4 gain outoutを持つcurrent conveyorがあり、その後段に2次のshaping amplifier(250ns, 500ns)。
 その後段にAMC(32 cell),MUX, buffer amplifierが実装されている
 
 
   ASICのレイアウト図 
 
 
  ASICの評価用テストボード 
 chip用ソケット、差動ドライバー、レベルシフター、ADC(MAX1436b)、FPGA(Xilinx spartean3e)から構成されており、後段にSiTCP SOY1Gボードを実装し、データ収集を行う。 FPGAは、chipのslow controlとSiTCP-SOY1Gボードを通じたdata送受信に使われている。 
 
 
  線形性の結果 
 
- 線形性・ダイナミックレンジ shaper out: 3次のcorrection fitで< 1%, 100fC - 250 pC
 - channel間のばらつきは 1σ < 1%
 - 時間応答 (trigger出力用): decay time at Current Conveyor: 10 ns (Qin > 20 pC)
 - AMCサンプリングクロック:writing 5-10 M Hz, reading 5 MHz
 
AMC out: gainがshaper out に比べ1/3. 3次フィットで~1%, 100fC - 250 pC
- 隣接セル間の干渉効果の抑制
 - 非線形性の改善
 - AMCシリアル読み出しの効率化
 
- S. Hayashi, H.~Hamagaki, T.~Gunji, M.~Tanaka, H.~Ikeda: "Development of a Front-end ASIC for Forward Calorimeter in LHC-ALICE experiment" at the JPS Spring meeting, Mar. 24--27, 2012, Kansei Gakuin University, Japan (slides)
 - S.~Hayashi, H.~Hamagaki, T.~Gunji, M.~Tanaka, H.~Ikeda : ``LHC-ALICEにおける前方方向カロリメータ用読み出しASICの性能評価'' at the JPS Spring Meeting, Mar. 26--29, 2013, Hiroshima University, Hiroshima, Japan (slides)
 - S.~Hayashi, H.~Hamagaki, T.~Gunji, M.~Tanaka, H.~Ikeda (Oral): ``Development of a Wide-Dynamic Range Front-End ASIC for W + Si calorimeter'', at the 2012 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference, Oct. 29-- Nov. 03, 2012, Disneyland Hotel, Anaheim, USA (slide)
 - S.~Hayashi, H.~Hamagaki, T.~Gunji, M.~Tanaka, H.~Ikeda, ``Development of a Wide-Dynamic Range Front-End ASIC for W + Si calorimeter'', Proceedings of the 2012 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference, Oct. 29-- Nov. 03, 2012, Disneyland Hotel, Anaheim, USA, Conference Record (2012) 576--580 (proceedings)
 - 2011 Master 東京大学 林 真一 Development of a Readout Circuit for Forward Calorimeter in LHC-ALICE experiment
 
