PMT高圧制御
メンバー
- 窪 秀利 (代表:京都大学)
- 水本 哲矢 (京都大学)
- 水村 好貴 (京都大学)
- 岩城 智 (京都大学)
- 内田 智久 (IPNS, KEK)
- 池野 正弘 (IPNS, KEK)
我々は、Sub-MeV~MeVエネルギー領域での天体γ線観測のために、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(Electron-Tracking Compton Camera, ETCC)を開発している。ETCCはマイクロパターンガス検出器μ-PICを用いたTime Projection Chamber(μ-TPC)とそれを取り巻くシンチレーションカメラで構成される。我々は、中型のETCCを開発し、これを気球にのせて実際に天体γ線を観測することでイメージング性能の検証を行うことを計画している(SMILE-II実験)。
シンチレーションカメラはGSOピクセルシンチレータアレイとマルチアノードPMT(浜松ホトニクス H8500C)で構成されるが、SMILE-II実験で使用予定のPMTは216本と膨大な数で、気球にのせる重量、スペースの問題から小型、軽量、コンパクトな高電圧供給回路が必要である。また、通信により電圧値を指示したり、PMTの正常動作の検証のため、PMT高電圧供給ラインの電流値のモニターを行いたい。本プロジェクトではDC/HV-DC Converter EMCO Q12N-5とマイコンを用いて、SMILE-II実験用のPMT高圧制御回路を開発する。
PMTに印加するHVを生成、制御するための基板である。
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図1:開発した基板の写真
左のD-sub 9pinはマイコンリセット入力と+3.3V電源入力および+6V電源入出力用の1つと、RS232C通信用の2つである。PMT高圧制御基板をデイジーチェン的に複数接続して通信することができる(通信用のマイコンのIDはディップスイッチで設定する)。EMCO(Q12N-5)は高圧生成用のモジュールで、0-5V入力に対して0--1.2kVを出力する。0-5V入力はマイコンに内蔵されているDACの出力を使用。EMCO1個で、PMT(Hamamatsu H8500)2つにHVを供給する。すなわち、PMT高圧制御基板1枚あたり、6PMT分にHVを供給できる(写真の右側のスルーホールが出力)。
PMTに供給している電流は電圧に変換の後、マイコン内蔵のADCでデジタル値にして読み取る。
図2:マイコン制御の概念図と複数枚の基板間の通信の概念図
図3:複数枚の基板をつないでRS232C通信で命令、データ送信している様子
図4:各種性能チェックの結果
- 「電子飛跡検出型コンプトンカメラの飛跡取得法性能評価とPMT電圧供給回路開発」、水本哲矢 他、日本物理学会第67回年次大会、2012年3月27日
- 「電子飛跡検出型コンプトンカメラ用PMT高電圧供給回路開発」、 水本哲矢、 計測システム研究会@RCNP、2015年7月24日
- "Precise Low-Energy Electron Tracking Using a Gaseous Time Projection Chamber for the Balloon-Borne Gamma Ray Compton Telescope", T. Mizumoto et al., Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/MIC), 2013 IEEE Conference Record
- "New readout and data-acquisition system in an electron-tracking Compton camera for MeV gamma-ray astronomy (SMILE-II)", T. Mizumoto, Y. Matsuoka, Y. Mizumura et al., Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, vol.800 (2015) pp.40-50. (arXiv:1508.00990 [astro-ph.IM])