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アトラス実験TGC検出器用新型PSボードの開発

概要

高輝度LHC実験(HL-LHC)での導入を目指し,TGC(Thin Gap Chamber) ミュー粒子検出器を用いたトリガー回路の改良を行っている。TGC検出器からASD(Amp-Shaper-Discriminator)回路を通じて出力されるデジタル信号を入力として、その信号がLHC加速器のどの陽子陽子衝突事象に起因するものかのタグ付けをし(BCID; Bunch crossing identification)、後段のトリガー論理回路に高速データ転送を行うPS(Patch-panel and Slave)ボードの開発を行う。PSボードには、ボードあたり256チャンネルを有し、陽子陽子衝突点から検出器の到達するまでのTOFや、ASD-PSボード間のケーブル長のばらつきに起因するチャンネル間の遅延時間を補正するvariable delay回路とBCIDのタグ付けをするBCID回路を有するPatch-Panel ASIC回路と、Patch-Panel ASICの出力信号を後段のトリガー論理回路に12.8Gb/s (2 x 6.4Gb/s)で高速転送するFPGAによって構成される。Patch-Panel ASICは現在のLHC-ATLAS実験で用いているものを使用し、このプロジェクトではFPGA周りの回路構成の開発に専念する。FPGAによりPatch-Panel ASICを適切にコントロールし、FPGAの高速通信機能を用いたデータ転送が実現できるかが開発の鍵となる。

メンバー

  • 戸本誠, Tomoto Makoto (代表:KEK・教授)
  • 堀井泰之, Horii Yasuyuki (名古屋大学)
  • 麻田晴香, Asada Haruka (名古屋大学、D3)
  • 大隅悠矢, Ohsumi Yuya (名古屋大学、M2)
  • 橋本大輔, Hashimoto Daisuke (名古屋大学、M1)
  • 佐々木修, Sasaki Osamu (KEK)


過去のメンバー

  • 内田智久, Uchida Tomohisa (KEK)
  • 池野正弘, Ikeno Masahiro (KEK)
  • 加納勇也, Kano Yuya (名古屋大学・研究員)
  • 佐野祐太, Sano Yuta (名古屋大学、D3)
  • 川口智美, Kawaguchi Tomomi (名古屋大学、D3)
  • 宿谷琴子, Shukutani Kotoko (名古屋大学、M2)
  • 水越健太, Mizukoshi Kenta (名古屋大学、M2)
  • 伊藤秀一, Ito Shuichi (名古屋大学、M2)
  • 稲熊勇人, Inaguma Hayato (名古屋大学、M2)
  • 若松一輝, Wakamatsu Kazuki (名古屋大学、M2)
  • 山田敏大, Yamada Toshihiro (名古屋大学、M2)
  • 皆川真輝, Minakawa Masaki (名古屋大学、M2)


機能・特徴

各256チャンネルに1ナノ秒刻みのvariable delayを有する。
256チャンネルのon/offのヒット情報を40MHz、8b10bで転送できる。つまり、12.8Gb/sの転送速度を実現する。
FPGAからPatch-Panel ASICを制御しvariable delay設定値などを入力する。
DAC回路を有し、ASD回路の閾値電圧を供給することができる。

写真

左:テストボード(2016年製作)、右:最終試作機(2021年製作)

PSボード PSボード

学会発表

  • 宿谷琴子, 戸本誠, 堀井泰之, 佐野祐太, 水越健太, 佐々木修, 内田智久, 池野正弘, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたエンドキャップミューオントリガーのための高速データ転送回路の開発」, 日本物理学会2016年秋季大会, 2016年.
  • 宿谷琴子, 宿谷琴子, 川口智美, 戸本誠, 堀井泰之, 佐野祐太, 水越健太, 佐々木修, 内田智久, 池野正弘, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験のエンドキャップミューオントリガーのための高速データ転送回路の動作検証」, 日本物理学会第72回年次大会, 2017年.
  • 伊藤秀一, 戸本誠, 堀井泰之, 宿谷琴子, 川口智美, 佐々木修, 内田智久, 池野正弘, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたTGC 検出器の前段読み出し回路のシステム開発」, 日本物理学会第73回年次大会, 2018年.
  • 稲熊勇人, 戸本誠, 堀井泰之, 川口智美, 伊藤秀一, 麻田晴香, 佐々木修, 内田智久, 池野正弘, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたTGC検出器の前段読み出し回路の放射線対策手法の開発」, 日本物理学会2018年秋季大会, 2018年.
  • 稲熊勇人, 戸本誠, 堀井泰之, 川口智美, 伊藤秀一, 麻田晴香, 佐々木修, 田中真伸, 内田智久, 宮原正也, 池野正弘, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたTGC検出器の前段読み出し回路の放射線対策」, 日本物理学会第74回年次大会, 2019年.
  • 稲熊勇人, 戸本誠, 堀井泰之, 加納勇也, 川口智美, 麻田晴香, 若松一輝, 山田敏大, 綿井稜太, 佐々木修, 田中真伸, 宮原正也, 池野正弘, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたTGC検出器の前段読み出し回路の開発」, 日本物理学会2019年秋季大会, 2019年.
  • 稲熊勇人, 戸本誠, 堀井泰之, 加納勇也, 川口智美, 麻田晴香, 若松一輝, 山田敏大, 綿井稜太, 佐々木修, 田中真伸, 宮原正也, 池野正弘, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験TGC検出器の実機仕様の前段読み出し回路の設計と放射線耐性試験」, 日本物理学会第75回年次大会, 2020年.
  • 皆川真輝, 戸本誠, 堀井泰之, 加納勇也, 山田敏大, 佐々木修, 田中真伸, 宮原正也, 池野正弘, 庄子正剛, 田内一弥, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたTGC検出器トリガーにおける前段回路試作機の動作検証」, 日本物理学会第76回年次大会, 2021年.
  • 皆川真輝, 戸本誠, 堀井泰之, 加納勇也, 佐々木修, 田中真伸, 宮原正也, 池野正弘, 庄子正剛, 田内一弥, 他ATLAS日本トリガーグループ, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたミュー粒子検出器における前段回路最終試作機の性能評価」, 日本物理学会2021年秋季大会, 2021年.


学位論文

  • 宿谷琴子, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたエンドキャップミューオントリガーのための高速データ転送回路の開発」, 修士論文, 2017年.
  • 稲熊勇人, 「高輝度LHC-ATLAS実験エンドキャップミューオントリガーの実機前段回路の開発」, 修士論文, 2020年.
  • 皆川真輝, 「高輝度LHC-ATLAS実験に向けたミュー粒子検出器における前段回路の実機開発」, 修士論文, 2022年.


その他

  • ATLAS Collaboration, "Technical Design Report for the Phase-II Upgrade of the ATLAS Muon Spectrometer" (Chapters 2 and 7), CERN-LHCC-2017-017, ATLAS-TDR-026, https://cds.cern.ch/record/2285580, 2017年.


プロジェクトメンバー

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