現在位置: ホーム R&D Project MPGD-readout-system public

MPGD-readout-system

メンバー
  • 大下英敏 (代表:IMSS KEK)
  • 瀬谷智洋 (IMSS KEK)
  • 内田智久(IPNS KEK)
概要

本プロジェクトでは、J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)で稼働中の中性子検出器に搭載されているFPGAファームウェアの開発をおこないます。
現在、MLFの高強度全散乱装置(NOVA)ではGas Electron Multiplier(GEM)[1]を入射中性子ビームモニターとして使用しています。大強度パルス中性子源であるMLFで使用する検出器には従来の検出器に比べて10~1000倍も高い計数能力が要求されます。開発した中性子ビームモニターはデータ転送技術として、SiTCP [2]を採用することで最大1 MHzのデータ転送を実現しています。他にもKEK測定器開発室(http://rd.kek.jp/index.html)で開発された要素技術(MPGD、ASIC、DAQミドルウェアなど)を採用することでコンパクトな二次元検出器を実現しています [3](写真1)。

MPGD_FIG1.gif
検出器のデータ転送能力を十分に活用するためには、FPGAファームウェアに組み込んだイベントセレクションのアルゴリズムを最適化する必要があります。今後予定されているMLFの中性子強度の増強によって、異なるイベントが同時にヒットするマルチトラックイベントの増加が予想されます。マルチトラックイベントはヒット点を瞬時に判定することが難しく数え落としの原因になります。オフライン解析の結果、ヒットイベントの到達時間のわずかな差をモニターすることで、マルチトラックイベントを正しく複数の軌跡に分離できることがわかりました。MLFの中性子強度は順調に増強されているので、このような軌跡分離アルゴリズムをオンボード上のイベントセレクションに組み込むことが急務となっています。
他にも位置分解能の向上を目指したイベントセレクションのアルゴリズムの組込みも同時におこなう予定です。開発した中性子ビームモニターはカソード面上に蒸着した10Bと中性子が反応し放出された荷電粒子( 粒子、Li原子核)を検出しています。中性子反応で放出された荷電粒子はガス中を通過する過程で、ガス粒子と電離して複数のクラスタを形成します(図1)。その後、電場の影響を受けクラスタに含まれる電子はアノードに向かって、イオンはカソードに向かってドリフトします。図1から明らかなように、カソード側で生成した電子は遅くアノードに到達し、逆にアノード側で生成した電子は早くアノードに到達します。一般に中性子反応によって放出された荷電粒子は複数の検出チャンネルにまたがって検出されます。複数の検出チャンネルのうち到達時間の最も遅いチャンネルをヒットチャンネルと規定することで位置分解能の向上が期待できます。図2にビームプロファイルのオフライン解析の結果を示します。図2(a)はヒットチャンネルとして真ん中の検出チャンネルを採用した場合、図2(b)はヒットチャンネルとして、クラスタの到達時間の最も遅いチャンネルを採用した場合です。明らかに図2(b)において二次元イメージが明瞭となり、位置分解能が向上することがわかりました。本プロジェクトでは、このようなイベントセレクションをオンボード上で実現することを目指しています。

MPGD_FIG2.gif
[1] F. Sauli, Nucl. Inst. and Meth. A386 (1997) 531.
[2] T. Uchida, et al., IEEE Trans. Nucl. Sci. NS-55 (2008) 2698.
[3] H. Ohshita, et al., Nucl. Inst. and Meth. A 623 (2010) 126.

機能・特徴

FPGAファームウェアに組み込まれるイベントセレクションのアルゴリズムが改良される他はほぼ現在の既存の中性子検出器の仕様を踏襲します。
図3にFPGAファームウェアのブロック図を示します。検出器から128 ch × 128 chのデジタル信号(LVDSレベル)がFPGAに入力します。黄色のブロックはFPGA内に実装される回路です。パルス幅フィルタの後、コインシデンス回路を通すか否かの分岐があります。コインシデンス回路がイベントセレクションをおこなう回路になります。イベントセレクションをおこなう動作モードをコインシデンスモード、全イベントを通過させる動作モードをオールモードと呼んでいます。本プロジェクトではこのコインシデンス回路を開発します。動作モードの切り替えはUser Datagram Protocol(UDP)通信でおこないます。コインシデンスモードの場合、データフォーマットはタイムスタンプ+XYヒット位置の構成で、タイムスタンプは10 nsec刻みで記録されます。データ転送にはSiTCPを使用しており、ネットワーク経由で計算機と接続しています。

MpgdBlock.JPG

公開予定リソース

基本的に全てのリソースを公開したいと思います。

図・写真等

MPGD_FIG3.jpg

プロジェクトメンバー

各プロジェクトのメンバー用ページを閲覧するためには、ログインとプロジェクトごとのアクセス権が必要です

ナビゲーション